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2006年06月15日 / 木曜日 / AM 9:49
7月に開催される「第3回日本うつ病学会総会」で『女性のライフサイクルとうつ』と題したシンポジウムが開かれ、12月の「第11回日本心療内科学術大会」でも『女性の各発達期におけるストレス』というシンポジウムが予定されています。
以前より「女性の方が男性に比べて3〜4倍うつになりやすい」、「女性は一生のうち4〜10人に1人がうつになる」ということがいわれていたのですが、ここにきて、ようやく女性というジェンダー(社会的性差)に対する目が向いてきたようです。
労働基準法第68条は、「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女子が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と規定していますが、なかなか取得できないのが現状。社会的に弱い立場である女性のほうがジェンダーに対するプレッシャーにさらされやすいことも、大きなストレスになっているようです。
月経が発来する思春期以降、ホルモンのバランスが周期的に変化することも、女性がうつになりやすいことと関係しています。月経周期のほかに、妊娠・出産、更年期など、女性の一生はホルモンの変化に大きな影響を受けています。これが、体調の乱れや精神状態の不安定さを引き起こし、「月経前症候群(PMS)」、「産後うつ」、「更年期うつ」などの状態を引き起こすのです。
20代前後になると、進学、就職、結婚、出産、育児・・・など、女性のライフサイクルはめまぐるしく変化します。また、それぞれのライフステージに応じて生活習慣や環境も著しく変化する時期です。
期待に胸を膨らませて社会に出てみたものの男性中心社会の現実や人間関係にストレスと幻滅を感じ、また「○○歳までに結婚しなくちゃいけない」というプレッシャーの中で、「何のために生きているんだろう?」「本当はどんな仕事をしたいのかわからない・・」という、羅針盤を失って「満たされない感じがする」虚無感、漠然とした不安と焦りを感じるのが、この時期の女性の心情の特徴のようです。
さらに結婚してからも、主婦としての家事や親戚・近所つきあい、嫁姑関係、母としての育児、仕事と家事の両立など、時間的な制約とプレッシャーから「キッチンドリンカー」という虚脱や「スーパーウーマン症候群」という疲弊型のうつになりやすいといわれています。
まだまだ多くのパターンがあるのですが、当クリニックに来てくださっている方は、他の心療内科やメンタルクリニックで、「自律神経失調症」「パニック障害」「うつ病」などと診断され、抗うつ薬や抗不安薬の投与を受けている20〜30代の羅針盤喪失型の女性が多いようです。たしかに症状だけうかがうと、そうかもしれないなぁ・・・と思いますが、上に書いたような女性のライフサイクルのことを前提に考えると、一生懸命に現状に対応しようとされているプロセスの一つと思えるのです。ですからある意味、「病気」とはいえないのではないか?と感じるのです。
こういう女性に対して、どうサポートすればいいのでしょうか?
もちろん、状態に応じてですが、当クリニックでも抗うつ薬や抗不安薬を投与することがあります。しかしなるべくなら出産前の女性や子育て中の女性に対しては、西洋医学的な薬剤は使いたくないと思っています。
特に動悸や手のふるえなどの身体症状や、漠然とした不安や職場に対する不満、あるいは自信のなさ程度であれば、漢方で割と軽くなります。その上で、その方のものの感じ方や生き方を一緒に考えていく心理面接を行っています。再診の場合、診察時間は一人あたり15分前後しか取れませんので、心理面接を希望される方には、30分あるいは60分の予約を入れていただいています。症状を「イヤなもの」「ネガティヴなもの」と見るのではなく、悩みや症状、そこから展開されるプロセスなどにじっくりとていねいに時間をかけて取り組んでいくことで、少しずつ「ほんとうの自分」である自我の成熟が促されていくのです。
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