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2006年06月26日 / 月曜日 / AM 9:44
「最近、胸が苦しくなるんです。」
左の手のひらを胸に当てて、患者さんがおっしゃる。
人間関係ですり減って意気消沈していた気持ちが、少しエネルギーを取り戻している。
「今胸を押さえているその左手を意識しながら、胸が苦しくなった感じを感じることはできますか?」
「えっ?!」
医者からの思いもよらない反応に、患者さんは驚いた様子。でも、目を閉じて体の感じを感じていらっしゃる。
「なんだか、こう、何て言ったらいいんだろう?全体的に圧迫された感じ。」
「圧迫された感じですか?もうすこし感じてみてください。」
「そうですねぇ、、、こうやってギュッてつかまれるような感じです。」
両手でボールを握りつぶすような動き。
「うん、じゃあ、その手をやってみて。」
私は右の拳を患者さんの前に突き出し、患者さんはそれをギュッと握る動作を繰り返す。
こういう、動きを伴ったやり方に少し馴染んできた感じ。
「どうですか?ギュッてやるとき、どんな気持ちですか?」
胸が苦しいという症状の主体から、胸を苦しくする症状の作り手に同一化する。
「『うるさい!だまってろ!』って感じがします・・。」
ちょっと照れくさそうに患者さんが口を開く。
私の方が驚く。そんな怒りが燻ってたのか。。。。
「もう一回やってみて。」
「うるさい!だまってろ!」
「う〜ん・・・」
今度は私が黙ってしまう。口に出せないもどかしさ。
しばらく自分の中を感じていると、心の中で何かの居場所が変わり苦しさが軽くなってくる。
「何がうるさいの〜?どうして黙って欲しいの〜?」
「えっ?!」
今度はギュッとしてた患者さんが驚いて顔を上げる。
私が感じた胸の圧迫感はどこかに消えてしまって、気持ちも楽になっている。
「交代しましょうか。」
「えぇ・・・」
役割を交代して、私が患者さんの心臓をギュッと握りつぶす。
いや、つぶそうとしているのではない。
ここで口を開くと攻撃されるから、大事に守ってあげてるような感じが生まれてくる。
あぁ、これだったんだ・・・!
「うるさい!だまってろ!」
「・・・・」
「どうですか?胸の苦しさは?」
「なんだか少し軽くなりました。」
右手の指先で小ちゃなボールをつまむような仕草。
「『だまってろ!』をやってるとき、どんな気分でした?」
「なんだか不思議な感じで、やってるとこうやって自分を苦しめてたんだなぁって感じました。」
「そうですね、自分で苦しさを作ってたのかもしれないけど、同時にあなた自身の心を守るためだったのじゃないですか?」
患者さんの目からはらはらと涙が落ちる。
「そうだったのかもしれません。自分を守るために殻を作ったんだけど、それが苦しくなったんです。」
「そのくらい苦しかったんですよね・・・」
診察室の空間が甘酸っぱいような切なさで満ちてくる。
「今は胸の苦しさはどうですか?」
「えっ?!あれっ?!・・・ない、、、です。」
「じゃあ、今日はこのくらいにしましょうか。」
症状が自分を守るものだったという気づき。それを私と共有してくれた患者さんに感謝。
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