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2006年07月31日

漢方からみた「冷房病」対策

クールビズが一般的になって、エアコンの温度は28度を推奨されていますね。暑い外からエアコンの効いた室内に入るとホッとしますけど、28度といっても一日中エアコンの効いた室内にいるのは、体にとってすごく負担になります。

特に女性の中には、寒すぎると感じて夏の冷房の季節にはセーターや膝掛けが手放せない女性も多いのではないでしょうか。あるいは疲れやすかったり、体調を崩して夏風邪をひきやすかったりする人もかなりいらっしゃいますよね。
いわゆる「冷房病」です。医学的には「冷え」がクローズアップされがちですが、漢方的にみるとすごくわかりやすいのです。

外の気温と室内の気温の差が5度以上になると、体温をうまく調節できなくなると言われています。また夏になると身体は、毛細血管が拡張し汗をかいて、熱を発散しよう、熱の生成をなるだけ抑えようとしていますから、
長いこと冷えた室内にいることで、毛細血管の収縮調整障害、汗腺からの汗の分泌低下を引き起こすのです。おまけに日照時間が長くなる夏は活動性が高まっている状態ですから、冷房の寒さに暴露されることで一気に冬の状態になってしまい、自律神経のバランスが乱れやすいことも「冷房病」の原因になります。

このような状況下で引き起こされるのは、まず「冷え」でしょう。
冷えは漢方でいう「水」の異常である水滞(発汗量の低下、むくみ、下痢、頭痛)を引き起こします。食欲がなくてあんまり食べていないつもりでも体重が増えてしまった・・・という方は、まずこの水滞を疑ったほうがいいかもしれません。
また毛細血管の収縮は「血」のうっ滞をひきおこし、肩こりや腰痛、神経痛、月経痛の増強や生理不順を引き起こします。さらに「気鬱」や「気虚」という、倦怠感、易疲労感、食欲不振、憂鬱感、不眠のような症状が現れます。
男性の場合は、「冷え」よりもむしろ、身体のだるさや疲れやすさ、疲れが取れないなどの症状を感じる方が多いようです。いわゆる「冷房病」が、検査をしても何の異常も見られず、自律神経失調症ではないか?といわれることが多いのは、このように、気・血・水のアンバランスが原因となっているからなのです。

では、どうすればいいんでしょう?
室温を下げすぎない、冷房の風に直接あたらないように扇風機を補助的に使うということも有効ですね。また靴下やカーディガンなどで身体を冷やしすぎないようにすることも大切です。さらに女性の場合は、お腹や腰の冷え対策の膝掛けや薄手の腹巻きなども必要でしょう。
あるいは、季節の野菜(ビタミンB類の豊富な人参、小豆、ほうれん草、セロリや身体を温める働きのある人参、レンコン、里芋、大根などの根菜類)を多く摂ることも冷房病や夏ばてから身を守る手段になりますね。くわえて白湯(さゆ)やカフェインの少ないハーブティーなども効果があります。

それでも上に書いたような水滞、「血」のうっ滞、気鬱や気虚のような症状があるときには、漢方薬の出番です。漢方薬は西洋薬と違い、各個人の「証」(状態)にあわせて処方しますので、何が一番つらいのかという症状、陰陽虚実という体質、気血水の状態、胃腸の強さなどを総合的に判断して、一番身体に合いそうな漢方薬を決めていきます。南青山心友クリニックでは、保健で認められている医療用のエキス顆粒の漢方を処方いたします。だけど、漢方薬を飲んでいるから大丈夫だろうと夜更かししたり、アンバランスな食事をしていたのでは何の効果もありませんので念のため。

2006年07月24日

ストレス対処法〜その4〜気分転換の意味

なかなか梅雨が明けずに、まぶしくカラッとした晴天の下で、雨続きのうっとうしい気持ちから解放されたいと思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。ストレスに対する気分転換と似てますよね。イヤなことがあったり、ストレスを感じたときには、「好きな音楽を聴いたり、趣味やスポーツで気分転換するよう心がけましょう。」なんてことを書いてあるのをよく見かけます。

でもこう暑いと、体はだるいしウダってしまいますね。うっとうしい気分が晴れたとしても、また別のイヤな要素が押し寄せてきてますね。本当に気分転換になってるのでしょうか?

実はこの気分転換というのが実は一番むずかしいのです。
なぜかというとストレスやイヤなことを忘れようとすることは、心理学的に「抑圧」とか「否認」といいますけど、逆効果のことが多いのです。ポジティヴ・シンキングで元気になったつもりでも、イヤなことやストレスを無くなったわけではないし、逆にエネルギーが無意識の方に流れていって、反対のものが出てくることがあるんです。これを「補償」といいます。

一時的にイヤなことから目をそらして蓋をすることによって、忘れることは出来る。けれども、常に蓋の存在が意識されるし、その下にイヤなことがどっかりと存在してることを感じてる。この蓋の向こう側が無意識なんです。この蓋がはずれて中のものが飛び出してきたら、パニックになっちゃうし、押しつぶされてしまうかもしれない。以前「ブルーマンデー症候群」のところで書きましたけど、週末にたっぷり遊んだはずなのに、日曜の夜から気持ちが重くなる。ストレスに暴露される前からストレスを感じている人も多いですよね。

どうしてなのでしょう?よく言われている気分転換は役に立たないのでしょうか?

そうではないのです。だけど何かをしたいという意識エネルギーの「方向性」と「強さ」を「自覚」していないと、元気で活動的であったとしても長続きしないのです。そのうちに意識のエネルギーが蓋の下の無意識の方に自然に流れて行っちゃって、意識にはエネルギーがなくなり、気分の落ち込みとか、ボーッとしてしまうみたいな鬱っぽい状態になってしまうことがある。現実的に何も出来ない状態になる。これが「補償」なんです。無意識からのメッセージなんだけど、現実の中でエネルギーがうまく使われない状態になる。現実に適応できないってことですね。仕事などで燃え尽きて鬱になる時ってこんな感じです。私自身もまさにこの状態の鬱を体験しましたし、そういう患者さんもずいぶん診てきました。

うつ状態になると、エネルギーが無意識の中でグルグルと空回りしているように感じられます。だからよけいに意識は焦るし、焦れば焦るほどエネルギーは消費してしまう。まさに悪循環。でもただエネルギーが空回りしているだけとは限らない。鬱のブログでも書きましたように、無意識の中で何かの変容が起きていることもあるし、無意識の中でエネルギーが使われるといろんなイメージとか象徴(シンボル)が出てくることだってある。これを「サナギの状態」と表現しました。

いままで意識が否定していたこのような状態を、時間をかけて注意深く、そしてやさしく世話してあげる。まさに繭(まゆ)のイメージ。無意識に「隠されている何か」が何を教えてくれるのかを知ること、症状(病い)の意味とは、無意識のイメージを意識の方に呼び戻すことなのです。

そのために必要なこと。それは身体の状態を意識するのと同じように、ふだんはほとんど自覚していない自分の中の微細な感情や感覚に気付くことなんです。こうイメージしてください。私たちがふだんいろんなことを考えたりしている意識は、無意識という大海原に浮かぶちっぽけな島だと。ストレスというのは、島が低気圧に見舞われている状態だと思ってください。横殴りに叩きつける雨と風で、自分という家は吹き飛ばされそうになり、身体である木々は翻弄されている。ストレスという嵐から島を守るためには、まず風や雨で被害が起きるのかどうか見極めるという、前の3回で書いたような「身体」に対する感覚がすごく大切だということがわかると思います。と同時に、大波によって島がダメージを受けないようにする、意識と無意識の間の防波堤が絶対に必要なんです。気分転換という海、あるいは無意識の大波から目をそらす方法では、いつ大波がおしよせて島が水浸しになってしまうかわからないでしょう?嵐だけに限らない。海を見ずに島の崖っぷちを歩いていると、そのうちに崖から落っこちてしまう。島の陸地のことだけをあれこれ心配する神経症的な「考えすぎ」をちょっとやすめて、落ち着いて島の置かれている状況、島と海の関係を見直すことで、島全体のことがわかってくると思います。

ユングの有名な言葉があります。
「神経症が治療されるのではなくて、神経症がわれわれを治療するのである。」

世界がひっくり返るようなインパクトを感じますね。文化庁長官の河合隼雄先生は「病いを深める」という表現をなさっています。結局のところ、私たちが「良い」「悪い」、「好き」「嫌い」と分別していることが、私たちの根源的な問題なのかもしれません。

でも一方で、得体の知れない無意識と直面するだけの自我の力がないときは、しっかりと境界線を守っておく必要があります 。そうしないと凶暴にも思える無意識の力に翻弄されてしまいますから。蓋をしっかり閉じて、無意識を自覚しながら「蓋の上」で人生を謳歌することがさらに蓋を強化してくれるのです。そういう「必要性」のある時にそなえて、日常生活を楽しむいくつかの方法を身につけておく必要があります。

自らの本質と深く関わる無意識のエネルギーと向き合うこと。意識と無意識のエネルギーのバランスをとり、その両方を生きること、これが気分転換の本当の意味なのです。心のありようについては、今後も少しずつ書いていきますね。

次回は夏本番を前に、いわゆる「冷房病」が引き起こす身体への負担について書いてみます。

2006年07月18日

ストレス対処法〜その3〜適度な運動ってなに?

夏本番前の連休が終わり、また梅雨空が戻ってきましたね。
この連休中、お出かけされた方も多いのではないですか?
ちなみに私も連休を利用して、去年世界遺産に登録された奈良県の大峰山(山上ヶ岳)に登ってきました。普段、運動する機会が少ないから、過酷だったけど適度な運動&リフレッシュになりました(笑)。

ストレスで消耗疲弊した心身を再構築するための「適度な運動」というと、どんなことを思い浮かべるでしょうか?ジョギングやジムでのトレーニング、女性であれば最近流行りのホットヨガやパワーヨガでしょうか。こういう運動は、身体を意識することにすごく効果がありますよね。

でもそれでも、仕事が忙しいとか疲れてるから今日は休もうってことで、いつの間にかやめちゃって続かないっていう人も多いんじゃないでしょうか。

それはたぶん、アタマで考えた「運動」をカラダに強要しているんだけど、カラダの言い分が聞こえてないからだと思うんです。トレーニングという意味では、最大筋力の70%程度の負荷をかけることで持久力がつくと言われていますけど、ストレスを緩和するための適度な運動ですから、負荷ではなく、リラックスが目的なんです。だからカラダが緊張してる状態と、弛緩(リラックス)してる状態を自覚しながらやることが大切なんです。

筋肉が緊張した状態を意識的に作り、次に筋肉の緊張が解けた状態を意識する。これがストレス緩和の「適度な運動」ですし、また同時に「休養」なんです。だから、ホットヨガやパワーヨガよりも、古典的なハタヨーガやストレッチの方がストレスで消耗疲弊した心身を再構築するには向いていると思うんです。
あるいは普段の日常生活の動作だって、充分「適度な運動」になりますよね。ただ歩いているときにも、カラダの緊張と弛緩の状態を意識することで心身の再構築にもなりますし、ストレスの負荷を軽減・解消することにもつながります。

こんな風に「適度な運動」と「休養」というのは、心と体のバランスを取るということなんです。考えてみると当然のことですよね。心と体のバランスが取れないと、カラダは疲れている、明日もあるんだから休まなくちゃ!という強迫観念があるとリラックス出来ないでしょう。心を緩め、カラダの緊張状態を感じ、リラックスさせる。これが「適度な運動」と「休養」ですよね。

たとえば、ハタ・ヨーガにシャバ・アーサナ(屍のポーズ)というのがあります。
仰向けに横になり、筋肉と関節に力を入れて弛めていき、最後には全身が脱力した状態にしていくものです。当然、カラダのすみずみまで意識を行き渡らせ、自覚的に力が入った状態を作り、そして弛める。肩とか腰は意識しやすいけど、私たちが「自分」の代表みたいに思ってる顔を弛めることを忘れずに!でも呼吸をすることを少しだけ意識を残しておいてくださいね。こんな風に緊張と弛緩が交互に繰り返されることで、カラダは暖まり、そしてリラックスしていきます。

カラダのリラックスにともなって、呼吸もゆっくりと自然に腹式呼吸になって、1分間に2回くらいの完全なリラックス状態になります。ヘタすると呼吸しなくちゃっちゃうから、呼吸するだけの筋肉と意識は保つようにしてください(笑)。

頭の中はいろんな考えが浮かんでは消えていくのをただ見ているだけの状態になります。眠っちゃってもOK。でもリラックスすることで頭が冴えちゃってもOK。でも考えに巻き込まれないこと。これが次の「気分転換」につながる大事なポイントです。たとえて言うなら、草原に寝そべって、体に風や空気の温度を感じながら、流れていく雲をただ眺めている状態。

15分から30分、この状態を続けるだけで、充分な睡眠を取った時と同じくらいの疲労回復効果が得られますよ。そして起きあがるときには、意識を体の隅々まで行き渡らせ、ふたたび力を入れてリラックスする。完全な脱力の状態から、緊張と弛緩の状態にもどるのです。すごくスッキリします。ぜひ試してみてくださいね。

来週は、「気分転換」について書いてみます。

2006年07月10日

ストレス対処法〜その2〜間違いだらけ(?)のストレス対処法

前回、ストレスの緩和にはまず身体の感覚から・・ということでブログを書きました。
ストレスに対処するには、
1)ストレスに対する反応を軽くする
2)ストレスの負荷を軽減・解消する(ストレスがたまらないようにする)、
3)消耗疲弊した心身を再構築する
と書きましたけど、順番的には3)→2)→1)ですよね。

ストレスに対処するには、まず原因となるストレスを取り除くこと!なんて書いてあることもあります。驚きますねぇ。職場や人間関係がストレスだった場合、仕事を辞めたり、イヤな人を亡き者にしろってことなのでしょうか。現実的な対処法じゃないですよね。
あるいはストレスはあって当然、しかたないと諦めることも肝心なんてことも書いてあります。諦めてストレスから解放されるなら、そんな簡単なことはないですよ。でも仕事を辞めちゃうと生活に困る。それが出来ないから、悪戦苦闘しちゃうのに、ね。

一見もっともらしいけど現実とはかけ離れたアドバイスは脇において、多くの人はどうするか。ストレスがたまって身体がだるい、あるいは肩が凝っている。マッサージなどを受けますよねぇ。気持ちいいですよ。気持ちも穏やかになり、身体から毒気も抜けてリフレッシュした感じになりますよ。あるいはジョギングをしたり、ジムに通ってトレーニングをやったり、ヨガに通ったり。これが3)なんです。

でもリフレッシュしたら辞めちゃう、あるいはいつの間にかやらなくなったって人も多いんじゃないですか?これじゃぁ対症療法と変わらない。長続きしません。継続しない限り、ストレスの負荷を軽減したり、解消してストレスがたまらないようにすることじゃないし、ストレッサーに対する反応を軽くするものでもないことはおわかりだと思います。

診察の場面で身体の感覚を感じる・・・ってことをやると、戸惑われる方が多いですね。一見、遠回りみたいに感じられるのでしょう。手っ取り早く、クスリや気の利いた方法でこのストレスを何とかしてくれ!と思う方が多いのではないでしょうか。

でもね、それじゃいつまで経ってもストレスとリフレッシュの追いかけっこ。若いうちはいいですよ、気力も体力も充実してる人が多いから。でも20代後半をピークに、気力体力ともに衰えていくんです。そしたら、いつまでもこんな堂々巡りを続けるわけにはいかないじゃないですか。実際、私はそれでコケちゃって鬱になったんだから。。。。

あるいは週末、寝だめするという人も多いのではないでしょうか。寝だめすることで、身体の疲労は回復します。でもどれだけの人が月曜日にリフレッシュして出勤してるでしょうか?ブルー・マンデー症候群でも書きましたが、月曜は気が重いもの。このことは寝だめでは心のリセットは出来ないんだっていう傍証でしょ?。

前回書いた「身体の感覚」というのは、ストレスに対する根本的な対処、つまりストレッサーに対する反応性を根っこから変えてしまおうとする試みなのです。だからかなりのストレスが加わっても、簡単に負荷を軽減できますし、多少のストレスがたまったとしても、自分でリフレッシュ(あるいはリセット)可能なのです。

私事を書くのは自慢みたいで気が引けるのですが、クリニックで一日中、人の悩みを聞き続けながら、クリニックを開ける前と閉めた後の2時間、こんなブログを書いたり、事務書類を書いたりしてるんです。実働時間は労働基準法に引っかかってしまう14時間くらい?もちろん、おつきあいで飲みに行って明け方帰ることもありますよ。しばらくは平均睡眠時間は4時間前後ということも続きました。早く帰ればいいのにね(笑)。それが出来たら苦労はしないんです。

週末もほとんど休みなし。寝だめとは正反対の状態で、金曜の診療が終わった後から月曜の朝までほとんど寝ずに集中してたりするんです。寝ても2〜3時間くらいの仮眠を何回か取るだけ。それで月曜の朝も8時前にはクリニックに来てますよぉ。何をやってるかは内緒ですが(笑)。
こういう生活を続けてると、もちろん気持ちも身体も疲れますよ。ドーンとエネルギーは落ちちゃうし。言われますもん、「センセー、疲れてますね」って(苦笑)。でもほとんどストレスにはならないし、昔のようにストレスで燃え尽きて鬱になるってこともないんです。これは身体の感覚や心の深い感覚に素直に従ってるからなんですよ。

そうは言っても、身体感覚は自分であるにもかかわらず、これまであまり馴染みのなかった他人のような自分ですから、最初は自分を感じようとすればするほど戸惑うかもしれません。私もずっとそうだったのですから。どうしても頭で考えて、解説しようとしてしまうんですよね、自分の感覚を。でもそれは次の「休養」と「気分転換」の効果を大きく左右しますから、頭で考えるのではなく、感覚を大事にしてくださいね。

来週は、「適度な運動」兼「休養」について書いてみようと思います。

2006年07月03日

ストレス対処法〜その1〜身体の感覚に慣れる

一般にストレスに対処するには、気分転換、休養、適度な運動が大切だといわれています。ではストレスとはいったい何なのでしょう?

ストレスは一般に、
1) ストレスの原因(仕事や人間関係がほとんど)
2) ストレスが加わった状態・症状(肩こり、疲れ、イライラなど)
という意味で使われます。

悪い意味で使われがちのストレスは、ある意味、外界から身を守るための注意喚起でもあるのです。極端な話、生きていくこと、それ自体がストレスでもあるのです。
そうは言っても、外界から身を守るための生理的反応で疲弊していたのではどうにもなりません。それに日常生活、社会生活を続けていく上で、ストレスの原因を取り除くことはなかなか難しいですよね。

ということで、ストレスに対処するには、
1) ストレスに対する反応を軽くする
2) ストレスの負荷を軽減・解消する(ストレスがたまらないようにする)、
3) 消耗疲弊した心身を再構築する
の3つが必要になります。
この方法として、冒頭にあげた気分転換、休養、適度な運動が必要だといわれているのです。

一般にストレスが加わると、心身はストレスの原因(ストレッサー)に対して、緊張状態を作ります。
気持ちはストレスの原因のことばかり考え、神経はピリピリして一触即発状態。身体も知らず知らずに肩の筋肉が慢性的に張りつめている。一種の臨戦態勢ですね。
これが長く続くと、神経の緊張(集中)が持続できなくなり、張りつめた糸が緩むように気持ちが落ち込み、身体も鉛が入ったように重く、動かすのもおっくうになる。。。誰にでも思い当たることはあるのではないでしょうか。

さて、こういうストレス反応を解消するには、まず自分の状態を自覚することがすごく大切なのです。気持ちの上ではストレスがあることは自覚できても、肩こりや疲れやすさなどの症状が出る前に、身体の反応を自覚している人はほとんどいないのではないでしょうか。ここが一番のポイントです。
身体に対する自覚が無い状態で適度な運動や気分転換をやったとしても、ほんのちょっと新陳代謝が改善したり、気が紛れるだけで慢性的な緊張はそのまま。一日経てばまた元の状態。たとえば、肩こりを自覚してマッサージなどを受けたとしても、数日後にはまたバリバリに凝っている。そんな人も多いのではないですか?

上に「自分の状態を自覚する」と書きましたが、心と身体の状態を意識すること、この「意識する」ということがストレスによる心身の反応を和らげ、ストレスをストレスでなくするキー・ポイントなのです。言葉ではうまく表現できませんけど、「ストレスがかかってるな〜」という自覚ではなく、普段は意識に上らない身体の反応を丹念に見ていくことで、心の影響が身体の状態で表現されていることに気づき、ビックリすると思います。

どうやって自分の状態を自覚するのか。いろんな方法がありますけど、自按摩という方法があります。たとえば肩こりの時、肩に手を当てますよね。このとき手で肩をもみほぐさずに、手を当てたまま肩の感覚を丹念に感じてみるのです。ゆっくり身体に触れてみる。あるいは優しく身体を撫でてみる。慣れないとこの「感覚」はなかなかわかりにくいと思います。この感覚は何を表現しているのだろう?そんなつもりでゆっくりと自分自身を感じてみるのです。ヨガのようにストレッチをしながら、身体感覚を感じてみるのもいいでしょう。あるいは、歩いているときに歩いていることに気持ちを向けることも、この感覚に慣れ親しむ方法になると思います。まずはこの「感覚」を感じてみてください。心と体をつなぐ呼吸に注意を向けるという方法もあります。もうそれだけで、リラックス出来ている自分に気づくはずです。

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、身体感覚の順に意識から遠くなります。このブログに「こころのこえをきく」というタイトルをつけたのは、そういう身体感覚のことなのです。さらに言うと、意識できない心の動きは身体感覚よりも意識から遠く、なかなか自分では気づくことが出来ません。クリニックでは1時間ほどの時間をお取りして、こういう感覚を実感していただくこともやっています。興味がおありの方はぜひどうぞ。