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2006年08月28日

夏バテを漢方で乗り切ろう!

カンカンに照りつける真夏の日差しが一息過ぎて、夏休みの終わり頃、まだ暑さは残っているけど風の感じやウロコ雲の秋の気配を感じる頃、いわゆる夏ばての症状を感じる人が多くなりますね。

夏ばての主な症状は

1)食欲がおちる
2)身体がだるく、疲れを感じる
3)冷房の影響で、冷え症になる
4)水分のとりすぎでむくみが出てくる
5)睡眠がしっかりとれない

などです。そういう私も、このところ疲れを感じることが多く、睡眠も浅いようなので夏ばてかも?と感じています。σ(^◇^;)

漢方の古典では、身体に熱がこもり元気がなくなるのは、暑さで身体が傷ついたため、と夏ばて(傷暑)の原因を説明しています。

じめじめした梅雨の間、発汗による体温調節が悪い状態が続いた後、過酷な暑さにさらされるので、熱が身体にこもってしまいます。また、喉の渇きのため水分を大量に摂取することで消化機能が減退し、生命エネルギーである「気」の産生が低下して、身体がだるい、気力がない、疲れやすい、日中に眠くなるなどの気虚という状態が起きてきます。

暑さも峠を越え、秋の気配を感じるころになると、真夏に陥った気虚のために各臓器に行き渡る生命エネルギー(気)が枯渇し、臓器の機能が減少します。顔色が悪く、皮膚の乾燥と荒れ、集中力の低下、髪の毛が抜けるなどの血虚の症状と、身体が重い、頭痛やめまいがする、むくみが出るなどの水滞も目立ってきます。


西洋医学には夏ばてという病名はありませんが、漢方ではこのように夏ばてを説明しているのですが、夏ばてといっても人によって状態が異なり、大きく3つのタイプに分けられるようです。


1)屋外の作業や炎天下の営業、野外でのスポーツをする人
この「熱・乾」タイプでは、暑熱の影響で蓄えておいた生命エネルギーを消耗し、余力が残りわずかになった状態です。皮膚の乾燥や脱力、落ち着きのなさ、焦りなどが症状として出てきます。水分を充分に取り、休養を取ることで、比較的回復しやすい夏ばてのタイプです。


2)クーラーの効いた部屋で一日中過ごす人
女性には、この「寒・湿」タイプの夏ばての人が一番多いのではないでしょうか?暑さを回避するために冷房や冷たい飲食物の摂取によって体内を水分で満たして冷やし、消化器系に負担がかかります。消化器系の働きが充分でなくなっていますから、生命エネルギーになるはずの後天の気を食物から摂取できず、活動が維持できなくなった状態です。皮膚のむくみ、湿り、あるいは食欲低下、気持ちの落ち込み、集中力の低下という症状が現れます。このタイプは、余分な水分を排除し、身体を動かすことや食事内容を見直すこと、漢方薬によるサポートで、徐々に回復に向かいます。


3)季節の変わり目に体調を崩しやすい人
この「寒熱・燥湿」タイプの人は、夏の暑さに適応できている一方、2)の「寒・湿」タイプと同じように身体を冷やす方に傾いたことで、秋の変化に順応しにくくなった状態です。このタイプの人で目立つのは、仕事帰りの飲み会や、子供と一緒の夏休みのイベントの参加、休日の家族ぐるみのつきあい、あるいは帰省などで義理での人付き合いが増え、それで疲れてしまうという特徴があります。夏ばてというより、夏疲れと言った方がいいかもしれません。


このように、一口に夏ばてと言っても、状態は人さまざま。夏ばての解消法も一人一人で違ってくるのです。一般にオススメされている夏ばて解消法をやってみたけど、効いた気がしないということも多いのでは?でも、南青山心友クリニックでは、漢方医学をベースに、その人の体質と状態を見ながら漢方薬を決めていきます。さて、みなさんはどのタイプでしょう?

2006年08月21日

治癒のきっかけ

私も体験しましたけど、抗うつ剤を服用しはじめた数日間、全身倦怠感やふらつき、口の渇き、便秘など、うつ病本来の身体症状に酷似した症状が強くなることがあります。

一般に、副作用とみなされるこの症状こそが、うつ病を治療するための重大な鍵ではないかと、精神医学者の木村敏先生が、『生命のかたち/かたちの生命(青土社)』の中で次のような指摘をされています。

人は本来疲れたならばすぐに身体的な調節反応が出て休息するのであるが、うつ病になるひとの場合、よく知られているその几帳面で律儀な性格ゆえに、うつ病という病的な反応になるまで休息できない。抗うつ薬は、彼らの阻止されているごく自然な身体の調節機能が発現するように助けるのであり、それがうつ病の治療に結果的につながるのではないか。

この考えは、薬が状態を直接改善するのではなく、薬は治癒の「きっかけ」であるばかりでなく、うつ状態、うつ病自体が、自己治療のための主体的で自立的な営みであることも示唆しているのです。

これに類似したことは、日常の臨床場面でもよく起きます。クリニックで処方した薬を飲み始めた途端に風邪を引いて、しばらく薬が飲めなかった。風邪が治ったら、もとの悩みも軽くなっていた・・・など、タイミングとしか思えないような出来事が起きて、状態が良くなってしまうのです。

こういう身体の変化だけでなく、「話す」「語る」ということで、変化がもたらされる場合もあります。だけど、多くの人は「話をしているだけでは現実は変わらないのではないか」と思っていらっしゃるようですが。そういう方でも、「こちらにうかがうのも、かなり迷いました。でも思い切って来て話せて良かったです。なんだかスッとしました。」とおっしゃるのです。

「弱音を吐ければ道が開ける」と心理学者の諸富祥彦先生もおっしゃっているように、回避しようと躍起になっていて苦しかった悩みや問題を話すことで、つらさを受けとめることになるのでしょう。フォーカシングの用語を借りると、「話す」「語る」ということで、自分の悩みを「整理する(クリアリング・ア・スペース)」し、つらさと「距離を取る(内なる自分とのかかわり方:脱・同一化)」ことが出来るようになるのだと思ってますけど。


話題は、その人自身の悩みやつらさだけでなく、痴呆のおじいちゃんへの対応だったり、身内の病気のことだったり。あるいは信仰の事まで話がおよぶこともあります。医学的な解説はするものの、「ふんふん、ナルホド・・」と相づちをうちながら聴き、あるいは「こういうことだったの?」と聞き返しながら、自分もその場に臨席しているような気持ちになってきますし、時には胸がいっぱいになって涙がにじむことも。

「この前、こちらにうかがった後、帰りになんだか全身のエステでも受けた後のように、肩がずっと楽でした。」

「ここに来るだけで、元気をもらっているような気がします。」

「来るのがすごく楽しみなんです。来た後、何日かはすごく調子がいいんです。」


こんな風に感じてくださっている患者さんは、私自身は、何にもしてないのに、勝手に良くなっちゃって、ビックリすることがあります。そうなると「そろそろ卒業ですね。」ということで、患者さんの良くなり方にも拍車がかかります。フロイトの患者アンナ・Oが「お話による治療(トーキング・キュア)」と名付けたように、「物語る」ことと、セラピストがファンタジーを大切にした「語り」に同行することによって、新たな現実が紡がれ癒されていくのでしょう。

「卒業」という言葉を使うのは、その人の心の深い部分から変容が起きたことを実感するからなんです。同じような状況があったとしても、その人は以前のその人とは全然違う。だからもう卒業なんです。薬物用法だけではこうはいきません。心理療法を併用することで、はじめて卒業できるんです。


「カウンセラーの仕事は、その人といっしょにのたうち回ることです。一人でのたうち回るのと、二人でのたうち回るのでは大違いです。」とは前出の諸富先生の言葉。

私はのたうち回ったりはしないんですが。。。(苦笑)
以前トンレンという教えを受けたことがあって、セラピストが同じ思いを共有することで、その人のつらさが半減するのだと思うのは、この考えがベースにあるからなのです。

でもスーパーヴァイザーからは「生野さん、教育分析やスーパーヴィジョンで気持ちを吐き出さないと、生野さんがまた鬱になっちゃうよ!」と言われています。鬱になるのは構わないんだけど、診察室のサイドテーブルの一番上には、いつも抗うつ用、体力増強用の漢方薬を常備してるのは、鬱になりたくなくて、いや、今鬱になっちゃうと患者さんに迷惑をかけちゃいそうだから、無意識にのたうちまわっているからなのかもしれませんが。

日常の診療で感じている、とりとめもない雑感を書いてみました。

2006年08月07日

ストレス・ケア・プログラム

マサチューセッツ大学医学部のジョン・カバットジン教授は、テーラワーダ系仏教と禅をベースにして『ストレス・リダクション&リラクゼーション・プログラム』という、マインドフルネスを重視した身体感覚への気づき(ボディ・スキャン)、瞑想、ヨーガ的な身体運動を組み合わせたプログラムを開発されています。

バイオテクノロジー企業の従業員に8週間、このプログラムを行った後、インフルエンザ・ワクチンを接種して抗体反応を調べたところ、瞑想訓練を受けた従業員は、対照となった従業員よりも強力な免疫システム反応を示したという結果が出たそうです。

自覚とか気づきということに目を向けることが、ストレスとうまく付き合う方法、ストレスをストレスでなくす方法ですってことで、4回にわけてブログに書きました。
カバットジン教授らの方法は、ブログで書いた自覚や気づきを生み出す「マインドフルネス(注意を払うこと)」と「アクセプタンス(判断せずに受け入れること)」へのゆるやかな解放が、ストレスの緩和のみならず、生体防御反応としての免疫能(自己治癒力)の働きを強化することに注目されています。これらは南青山心友クリニックとセラピールーム游の基本的なコンセプトと同じで、世界でも有名な施設でも行われていることに心強い味方を得たような気がしました。


先入観(スイスの精神科医ロラント・クーンのいう「パラダイム」という概念=理論的な信念を含む)によって固定化された私たちの注意や知覚が、目の前の現実と乖離してしまうと不適応につながります。
本来であれば、これまでの私たちの現実から予想も出来なかった体験をすることは、自己の変容と再生のきっかけとなるはずなのですが、固定観念があることで、予想も出来なかった事柄は、日常を脅かし、こころの傷となってしまうのです。これがいわゆるストレス反応。


一つイメージしてください。

自分の中にある「悪い」考えや「よくない」感情(たとえば心配や不安、あるいは憎しみなど)、「イヤな」記憶。それらの対戦相手としての「良い」チーム(信念や理想や自信など)を想定してみてください。
この2つの戦いが、たとえば将棋やチェスのようなものだと想像してください。サッカー・チームとイメージしても構いません。どちらを勝たせたいですか?


何としても相手チームには勝たなければならないと思いますよね。
ほとんどの人は「良い」チームを応援して「悪い」チームを打ち負かし勝利を手にしようとしますね。
この例を挙げて、「あなたはどこにいますか?ゴールキーパーですか?それともミッドフィルダーですか?」といろんな人に聞いてみると、ほとんどの人は「監督です」とおっしゃいます。「じゃあ、相手チームの監督は誰ですか?」とお聞きすると、しばらく考えた後「自分です」という答えが返ってきます。

その通りですよね。
自分自身が自分自身の敵なんだけど、敵も味方も、実は自分自身の一部なのです。この戦いは永遠に続きます。自分という存在がなくならない限り。。。


こういうストレスに直面したとき、ストレスという刺激が反応を起こすのではなく、ストレスに対する理解の仕方が反応を規定しているのです。そして多くの人は、イヤだと感じる自分の気持ちをコントロールしようとします。だけど多くの場合、これは失敗に終わります。今度は、こんなことをイメージしてみてください。

酸っぱいレモン、輪切りになったレモンを口の中に入れてかんだ瞬間。目を閉じて前身がレモンになったような、青臭さと同時に広がるあの酸っぱさ。あるいはアツアツのご飯と梅干し。ほっぺたの内側がキュッとなって思わず口の中に唾があふれてきます。。。。


さぁ、ここでそのイメージを想像するのをやめてみてください。。。。


どうですか、イメージを完全に追い払うことが出来て、唾が止まりましたか?


身体感覚や感情、思考、記憶と接触することを強制的に回避しようとすることは、逆にそのイメージを強め、その考えにとらわれてしまうのです。これが「不安」なのです。まして身体の反応はすぐには止まらない。

上記の「良い」チームと「悪い」チームの戦い、実は「自分」というのはそのチームメンバーや監督ではないんです。ゲームが展開されているフィールドだったり、将棋やチェスの盤なのです。だからゲームや戦いが続いていても構わない。TVゲームで、どちらが勝ってもゲーム機自体は壊れないでしょう?だって、自分はその戦いの中で生きているわけではないのですから。

こんなふうに、自分自身をがんじがらめに縛っている先入観の結び目が緩むことが、ストレスやうつ状態のような、こころとからだの「問題」からの解放になるんですよ。だから「気分転換」のところで書いたように、やり方を間違うと逆に気分転換をすることでストレスを増強させてることになってしまう。

このような状態の繰り返しが長く続くと、身体の不調だけでなく、精神的な不調を引き起こし、うつ状態や器質的な身体疾患を引き起こすことさえあります。


うつについて、神経科学者であるシドニー大学のマックス・ベネット教授は、「2020年ごろには、人間が抱える最も厄介な症状はうつ病になると言われている。ガンでも心臓病でもなく、うつ病なのだ」とおっしゃっています。

南青山心友クリニックと併設のセラピールーム游(http://www.therapyroom-you.com)では、共同してストレスやうつ状態に対して、各人に応じたこころと身体のケアを実施しています。クスリの助けも必要なときはありますが、基本的には自分の中に眠っている自己治癒力を最大限に発揮すして、うつやストレス状態に戻らなくてすむにはどういう方法があるのか。詳しい内容は少しずつブログで紹介していきますけれども、興味がおありの方はお問い合わせください。